想定外の問題を見つけるのではなく「想定を広げる」 #JaSSTReview

JaSST Review'19でmiwaさんの『違和感のつかまえかた』という講演をお聞きしたメモ。

最近、自分のやっていることは「違和感をみる」ことではないか?*1という仮説があり、参考にできないかと思いながらお聞きしました。

miwaさんはとてもやわらかくお話する方で印象的でした。
ふだん、なにげなくやっていることの言語化はむずかしいと思いますが、
それを聞けるとても貴重な機会でした。ありがとうございます。

資料

「風邪を引いたかも?」と思った時にどうする?

  • レビューはいつするのか?
    • うちのチームは、レビューしてない
    • 毎日そこらじゅうでディスカッションしている
    • これがレビューかもしれない
  • 最良の開発プラクティスを最大限適用する
  • レビューが良いものなら、常にレビューする
    • これだ!!
  • 自分達の製品のおかしさ
    • おかしさ=違和感=注意すべきシグナル
  • 自分たちの製品。自分が風邪をひく話。誰かが風邪をひく話でない。

違和感とはなんなのでしょうか?

  • 違和感とは「いつもの状態」と「今の状態」との差分
  • 違和感をかじるために必要なこと
    • 1.いつもの状態を知る
    • 2.理想や期待値を持つ
    • 3.今の状態(現実)を知る
  • いつもの状態 + 理想や期待値 × 今の状態(現実)

  • 自分の目で自分で考える
    • それが大事
  • 私がいつ何を見て違和感を感じているか?
    • 前兆の兆しみたいなもの、注目しているもの、やっていること
    • その時に何を考えているかを言語化した
  • 「それが実現されると何が嬉しい」のかよく話題になる
    • フレーズ「うまくいったらどうなるの?」
  • 朝会でみんなの脳を同期する
    • 脳がプライマリ
    • チケットやドキュメントはセカンダリ。着想を助ける。
    • 朝会のあとは脳が疲れる。疲れてないということは、考えてないので、異常な状態

「そんなに簡単には伝わらないだろうと思っている」「出し惜しみしない」

  • やりたいことがあって、作ったものを確認して、できないことを言いたい
    • どんな問題を見つけたいかを頭の中で描く
    • 起きたら嫌なことを考える
    • 具体的に何をしたらその問題が出せそうか、考える
    • 頭の中でテスト。出し惜しみせずに頭の中で壊した結果(予測)を話す。

  • 話題になってないことが何かを考えている
  • 同僚の様子、言動を観察
    • 会話の中でこういうフレーズが出てきたら、要注意というものがある「こういう仕様です」など
  • 製品をみる
    • 毎日製品を触っているので、昨日との違いが手触りでわかる
    • こう動く、こう動かないなどの理想が頭の中である。
    • 頭の中で考えたことが間違っていることがある。それは恥ずかしいことではない。間違っていることが知れて正しいことが知れる。
  • チケットをどう見てるか
    • 開発日記やテストの履歴が書いてある
    • 自分の知りたいことが書いてあるか。関連チケットも見る
    • チケットを見てどう開発したかを頭の中で構築する感じ。イメージができないものを確認する
  • 知りたいことを教えてもらうとき、なぜ知りたいかをセットで話すといいみたいです
    • 心配しようとしてること、試そうとしていることをプログラマに伝える
    • 知りたかったこと以上のことを教えてもらえることがある

  • 「(チケットに)たくさん書いてあって読めないよ」もシグナル
  • チケットの状況からもおかしさを感じる事もできる
    • 私たちのチームでよく見るのは「なんども仕切り直される」
    • 一人で複数のチケット、なかなか手につけないチケット
    • 思ったように製品が作れないという状態は「みんなの状態」
  • コミットログをみる(を過去にしていた、今はやってない)
    • 具体的なものが引っかからなかった
    • 今でも注目しているのは、連休前にコミットしたもの
  • 自分自身を知る
    • 自分の感情
    • 人間のせいにしない。(システムのせいにする)

違和感に対する感性を高める?

  • なぜ、違和感を感じることができたのか?
  • ここ数ヶ月、自分に問いかけてみた
  • 製品を知っているからこそ感じることが圧倒的に多かった

他者の違和感を取り入れる。

  • コスパ高い。
  • なんでそんな操作したんだろうか?
  • なんでそこに気づいてんだろうな?
  • 自分からも積極的に話す。
    • みんなに空気感染して、話してくれるようになる
  • 違和感を交換するのが目的ではなく、取り入れるのが目的
    • 自分のものにするまでは意識して取り入れる
    • なんとかさんになりきってテストする
    • 他人の違和感x自分の思考

  • 自分の感情
    • なんでそう感じてるかを考える
    • 自分の意識の持っていき方を矯正している
    • 自分やチームのみんなが考えそうもないこと
  • みんなで話している中で、見えないもの、書いてないものに注目する
    • 話題になっていないこと
    • 安心していること。安心仕切っていることは話題に出てこないことが多い。本当に安心できるか?
  • 間違っているかもしれないぞ
  • 「想定外の問題を見つけるのではなく想定を広げる
  • 疲れたときは休みましょう
  • 自分自身のバグもシグナルとして使う
    • テストに熱中する(=過集中、他を見逃す)
  • 差分が微量だとつかまえられないことがある
    • わざと差分を大きくして、つかまえやすいようにする

違和感をつかまえたのに、「そのままにしてしまったこと」ありませんか?

  • なんとなく言い出せない状況や心境
    • 言いづらい違和感ほど誰かに伝えるようにしている
  • 「気のせいかな?と思うことのほとんどは気のせいじゃない」
  • 言いづらいときにどうしているか
    • 「これは仕事だから仕方ない」と思う
    • 練習する言えるようになる、でも、言いづらさはなくならない
  • 違和感を自分ひとりだけのものにしておかない
  • 違和感を口に出す。
    • 「あれ?」と口に出すと周りが反応して、そのままにしにくくなる。
    • 練度が上がると首をひねるだけで周りがざわつく
  • 捕まえた瞬間に「あれなんだ?」を考える

わかったような気になっているとき、は違和感に対する感度が鈍くなっています

  • ちょっと話聞いたくらいでわかるはずない
  • 私のくせにこんなにわかるのはおかしい

パネルディスカッションでの一部

  • チームの仕組み
    • 「おかしいと持ったらすぐにいう」
    • 「わからなかったらすぐにいう」
  • みんなには他にしてもらいたいことがあるから、調べたり悩んだりがもったいない
  • 「安全だから喋る」とかじゃない
  • 仕組みや規則があるのでなく、みんなが良いと思っているから、そう振る舞っている
  • 「わからない」を言えると言えるようになる
    • 言わないと言えるようにならない

講演をお聞きして

  • 資料をみてゆっくり考えたいな、と思った。
  • 「想定外の問題を見つけるのではなく想定を広げる」と言う言葉は、とてもしっくりくる。
  • 私の「違和感」は、「理想の状態と今の状態の差分」を感じている気がする。
    • それを感じるために「理想」を描いたり知ったりすることが大切だと感じている。お話を聞いていて、やっぱりそうかな、と思った。
  • 私は、自信がないものは注力して考えているから、そこに隠れている「無意識に自信があるもの」に気付けてない課題がありがち。
    • 自分自身を疑ってモニタリングして、感情や感覚や行動がわかるようにありたい。自分を疑うことのしきい値
    • 『無意識を使う』
  • ふだんの自分の「なんとなく」感覚をつかめるようになりたい。言語化したい。まずは手帳に書いてみようかなあ。

*1:本当にそうかは違和感がある